契約の期間と契約更新/不動産・土地・建物・借地・借家・マンション法律相談室/弁護士法人アスタスク法律事務所(神戸)

 

  「普通建物賃貸借」の期間満了(2年)がもうすぐ来るのですが,期間満了になれば賃借人は必ず退去しなければならないのでしょうか?

 
A 建物の賃貸人が更新拒絶または解約をするには,「正当事由」の存在が必要で,賃借人の権利が強力に保護されています。 正当事由がなければあなたはそのまま住み続けることができます。


「正当事由」の有無は,①家主及び借家人の双方の建物の使用を必要とする事情,②建物の賃貸借に関する従前の経過,③建物の利用状況,④建物の現況,⑤立退料の申出等を総合的に比較勘案して判断されます(最終的には裁判所が判断します。)。
なお,1年未満の期間を定めた賃貸借契約は期間の定めのないものとみなされます。1年以上であれば長期の制限はありません。

なお,主たる判断要素は①の点で,他の要素は補完要素に過ぎません。
最終的には(当事者間の話し合いで決着が付かなければ),裁判所が「正当事由」があるか否かの判断をすることになります。

上記①~⑤の具体的内容は下記のとおりです。


①家主及び借家人の双方の建物の使用を必要とする事情

→家主側の事情としては,自己または家族の居住の必要性,家族との同居の必要性,借家の老朽化による建替の必要性,敷地の有効利用(例えばマンション建設),などがあげられます。
一方,借家人の事情としては,借家使用継続の必要性(借家人が老齢・病気・困窮などのため引っ越しが困難,借家人が生計を立てる手段として店舗に使用しているなど),などがあげられます。

 

②建物の賃貸借に関する従前の経過

→借家契約締結時の事情(契約期間の長短,権利金・保証金・その他一時金の授受の有無及びその額など),借家契約の経過期間,借家契約継続中における更新料などの授受の有無・その額,借家人に賃料不払や用法違反などがあるか,などがあげられます。

 

③建物の利用状況

→建物が居住用か事業用か,ビルか木造か,何階建てか,床面積はどの程度か,建築基準法などに適合している建物か,などがあげられます。

 

④建物の現況

→建物の老朽化の程度,大修繕の必要性,修繕に必要な費用額,などがあげられます。

 

⑤家主が建物明け渡しの条件としてまたは建物明け渡しと引き換えに借家人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出

→立退料の提供,代替建物の提供が考えられます。
立退料の額は,個別事案によって異なります。

 

 

 

 

 

Q 更新料とはどういう意味でしょうか?

 

A 更新料とは,賃貸借契約の更新の際に賃借人から賃貸人に交付される金員で,賃貸人が返還を要しないものとされています。
更新料の性質については,①賃料の一部前払い,将来の賃料の補充,②賃貸人の更新拒絶権放棄の対価,③①と②の性質を併せもつものとする見解などがあり,定まった見解がない状況です。

更新料をめぐっては,「消費者契約法10条に違反し無効」として各地で争われています。


→ 平成23年7月15日最高裁判所第2小法廷判決

 

更新料条項についてみると,更新料が,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有し,更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや,従前,裁判上の和解手続等においても,更新料条項は公序良俗に反するなどとして,これを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからすると,更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人との間に,更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。
 そうすると,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。
 そして,「更新料の額を賃料の2か月分とし,本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とする事案」について,これを消費者契約法10条により無効とすることはできない,と判断しました。

 

 

 

Q 私は,マンションの1室を賃料1か月10万円で賃貸しています。賃貸借契約書には更新料を10万円とするという規定があります。私は,契約期間満了の2か月前に賃借人に更新の意思を確認したところ,賃借人は更新を希望しました。

そこで,私は,賃借人に対し,更新料10万円の支払を請求しましたが,賃借人はその支払を拒否しました。

私は,賃借人に対し,裁判などによって,更新料の支払いを請求できるのでしょうか。

 

 

 

A 更新には2種類あります。

建物賃貸借契約の期間満了にあたり,賃貸人・賃借人間の合意により契約を更新すれば,そのまま存続します(=「合意更新」といいます)。

一方,建物賃貸借について賃貸人・賃借人が明示的に合意をしていない場合であっても,期間満了の1年前から6か月前までに賃貸人が賃借人に対し契約更新拒絶の通知をしなければ,同一条件で更新したものとみなされます(=「法定更新」といいます)(なお,契約の更新拒絶するには「正当事由」が必要とされています)。

 

ご質問のケースは,更新の意思を確認したのが期間満了の2か月前ということですので,「法定更新」となっているものと考えられます。

更新料支払いの特約がある建物賃貸借契約が「法定更新」された場合,賃借人に当該特約に基づく更新料の支払義務があるか否かについては,裁判例も分かれているところですが,『更新料支払特約の適用場面を「合意更新」に限定して「法定更新」の場合を除外する合理的理由はないことから,「法定更新」の場合も賃借人には更新料の支払義務がある』とする考え方の方が有力とされています。

 

 

 

 

 

 

 

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